山本産婦人科(三重県津市)の更年期におけるホルモン補充療法についてのページです。

ホルモン補充療法の実際

ホルモン補充療法の普及率は?

欧米の場合、45〜64歳の女性がホルモン補充療法を受けている割合は30〜50%に達しているのに対し、日本ではいまだ数パーセントにすぎないと考えられています(細井孝之、2001)。

なぜ日本で普及しなかったのですか?

歴史的背景によると思われます。ホルモン補充療法は1940年頃にアメリカでエストロゲン補充療法として導入され、さらに、エストロゲン単独療法の副作用を回避するためにエストロゲンとプロゲステロンの併用療法が1980年頃に登場したという経緯があります。

そして、1986年には米国FDA(食品医薬品局)によって、骨粗鬆症の予防・治療と心疾患の予防にホルモン補充療法を用いることが承認され、これを受けて1992年に米国医師会がホルモン補充療法のガイドラインを提示したことを契機に、米国でホルモン補充療法が急激に普及するに至っています。

日本では、更年期・老年期のQOL(Quality Of Life:生活の質)を問題にして、積極的に老後の生活のあり方を考えだしたのはごく最近のことであり、それまでは“老いて加齢変化のあるのは当たり前”と受け身の姿勢であったことが、普及してこなかった原因とも考えられます。
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ホルモン補充療法の利点は何ですか?

いくつかの利点があります。下表にまとめましたが、詳しくはそれぞれの項目をお読み下さい。

ホルモン補充療法のベネフィット

1)更年期障害が改善します。
特に“ほてり・のぼせ感”や“発汗”のような血管運動神経症状は著しく改善します。
2)生殖器症状が軽くなります。
加齢とともにエストロゲン欠乏が起こると、外陰部の皮膚が乾燥して痒くなったり、老人性(萎縮性)腟炎のために“おりもの”が増えたり、性器の萎縮によって性交痛が出たりしますが、これらの症状が良くなります。
3)骨粗鬆症の予防効果が期待できます。
ひじをついて倒れた時に起こる上腕骨外科頚骨折、手のひらをついて倒れた時に起こる橈骨遠位端骨折、背骨の曲がってしまう胸・腰椎椎体圧迫骨折、膝をついて倒れたり、大腿をねじった際に起こる大腿骨頚部骨折などを起こさないよう、“寝たきり老人”にならないよう、予防策として有効です。
加齢や閉経に伴う高脂血症を改善し、動脈硬化症の悪化を予防できる可能性があります。エストロゲンにより、総コレステロールの低下・LDLコレステロールの低下・HDLコレステロールの増加が期待できます。ただし、中性脂肪は増加する可能性があります。
5)悪性腫瘍の種類によってはリスクが低下します。
結腸・直腸癌のリスクが低下します。
6)皮膚の老化防止に役立ちます。
加齢により皮膚の弾力性・保湿性・厚みが低下し、“しわ”が形成されますが、皮膚の衰えを減速する効果があります。
7)アルツハイマー病の予防効果がみられています。
アルツハイマー病は、80歳を超えると女性で急激に増加する痴呆症ですが、10年以上ホルモン補充療法を継続すると男性と同レベルまで発症が抑えられるとされています。
注:尿失禁 特に切迫性尿失禁は従来ホルモン補充療法により改善するとされてきましたが、2005年のWHIの報告では、むしろ悪化傾向にあることが示唆されています。
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ホルモン補充療法の欠点はなんですか?

閉経後の婦人における疾病予防対策を総合的に評価することを目的とした大規模臨床試験が1991年より米国で行われました。50〜79歳の健康な一般閉経婦人約16万人を対象に、40の医療施設で行われた臨床試験ですが、 2002年にホルモン補充療法に関するWHI Hormone Programの部分が公表されました。このプログラムは子宮のある閉経後の婦人16,608人を対象として、ホルモン補充療法を行った群(8,506人)と偽薬(プラセボ)を投与された対照群(8,102人)との間で、冠動脈疾患・浸潤乳癌・脳卒中・肺塞栓・子宮内膜癌(子宮体癌)・結腸直腸癌・大腿骨頚部骨折などの発症に有意な差があるかどうかを検討したものです。
WHI Hormone Programの結果は下表の通りです。

ホルモン補充療法の相対リスク

発生した疾病 相対リスク 絶対リスクの増加 絶対ベネフィットの増加
冠動脈性疾患
脳卒中
静脈血栓症
浸潤乳癌
結腸・直腸癌
骨折(大腿骨頚管骨折)

1.29
1.41
2.11
1.26
0.63
0.66



18


*相対リスクというのは、対照群を1.0として考えています。たとえば、相対リスクが1.5であれば、リスクが1.5倍に増加することを示し、逆に相対リスクが0.5であれば、リスクが1/2に減少することを意味しています。

骨折と結腸・直腸癌のリスクは低下し、冠動脈疾患・乳癌・脳卒中・肺塞栓などのリスクが増加するというデーターとなっていますが、具体的な数字の意味するところは、次の通りです。

1万人の閉経婦人にホルモン補充療法を1年間行ったとして、治療を行っていない
対照群との間に生じる差は、
1)冠動脈疾患が7人増えた(対照群が30人であったのが37人となった)
2)脳卒中が8人増えた(対照群が21人であったのが29人となった)
3)静脈血栓症が18人増えた(対照群が16人であったのが34人となった)
4)浸潤乳癌が8人増えた(対照群が30人であったのが38人となった)
5)結腸・直腸癌が6人減った(対照群が16人であったのが10人となった)
6)骨折(大腿骨頚部)が5人減った(対照群が15人であったのが10人となった)

この中間分析の結果、リスクとベネフィットとを総合評価しても相対リスクが1.15であったことから、WHI Hormone Programの一部が中止となっています。
ただ、この臨床試験はあくまでも米国で行われたものであり、人種差・食生活を含む生活環境に差のある日本人に対して、この分析結果をそのまま当てはめて考えるのは、あながち正確とは言えないと思われます。

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WHI Hormone Programの特異点

  被験対象者の約84%が白人であり、日本人とは遺伝的背景が異なること。
  被験対象者の平均年齢が63歳とやや高く、肥満例(BMI:25以上)が全体の約69%を占め、喫煙あるいは喫煙の既往のある人が約50%に上っていること。また、高血圧の加療中の人または血圧140/90mmHg以上の人が約35%、高脂血症の人が12.5%、スタチン(高脂血症治療薬)服用者が6.9%、アスピリン(抗血小板薬)服用者が19%、心筋梗塞あるいは狭心症の既往が4.4%、静脈血栓症の既往が2.7%となっています。
したがって、日本人とは異なる疾病構造が基礎にあること、健康な閉経婦人を被験対象者としたことになっていますが、あながち“健康”といえない局面も推察されます。ちなみに、
60歳代の日本人女性でBMI25以上の人は、わずかに20%にすぎません
  米国では日本に比べて乳癌の発症率がもともと3倍以上あること(人種差)。
【ただし、乳癌については以前からホルモン補充療法によってリスクが増加することが指摘されていて、今回の臨床試験が抜きん出て高いリスク値というわけではありません。実際、日本産科婦人科学会生殖内分泌委員会の報告でも、日本人におけるホルモン補充療法による乳癌発症の相対リスクは1.403(0.973〜2.024)とされています】
  静脈血栓症の発症も日本人に比べて、もともと10〜20倍もあること(人種差)。
  すでに冠動脈疾患のある女性に2次予防(再発予防)として行っても効果がないというだけでなく、1次予防(発症予防)にも有用でないと指摘していることが、この臨床試験の1つの特徴であること。
【従来、ホルモン補充療法は、高脂血症を改善し、動脈硬化を予防することによって、冠動脈疾患の頻度を下げるものと考えられてきました。この臨床試験の結果は、逆に悪化の可能性を示していますが、心筋梗塞死亡率が日本人では10万人当たり4.7人であるのに対し、欧米では7.1(1.5倍)〜25.0(5.3倍)と高く、人種的・遺伝的背景の違いを差し引いて考える必要があると思われます】
  子宮摘出後の閉経婦人に対するエストロゲン単独療法の臨床試験に関しては、現時点でリスクの上昇が認められていないため、2005年まで続行されました。
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治療の対象・対象外はどのようにして決まりますか?

1)既往歴

*心血管疾患
虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)などでは、2次予防(再発予防)効果はなく、悪化の可能性があるため対象外となります。また、WHIの報告(上記)からもわかるように、冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)の予防目的にホルモン補充療法は行わないと考えて下さい。

*血栓性病変
肺塞栓症脳血管障害の既往はもちろんのこと、深部血栓性静脈炎の既往のある場合も血栓再発の可能性があるため対象外となります。
抗リン脂質抗体症候群のような自己免疫疾患も対象外となります。
その他、先天性血栓性素因がある場合も対象外となります。また、家族に血栓症になった人がいる場合は、治療を受けるとしても慎重であるべきでしょう。

*悪性腫瘍
乳癌子宮内膜癌(子宮体癌)などエストロゲン依存性腫瘍のある人では対象外となります。子宮内膜癌の場合は、1期癌で治療後2年を経過していれば、プロゲストーゲンを併用する限りにおいて、ホルモン補充療法を行ってもよいとされてはいますが、あくまでもインフォームド・コンセントの下に治療を受けるかどうかを決定すべきでしょう。
乳癌の場合は、たとえ治療が終了していても、ホルモン補充療法は対象外と考えて下さい。乳癌には遺伝的背景があり、1親等以内に1人の乳癌の人がいるとリスクは1.8倍、2人以上で2.9倍と増加するため、乳癌の家族歴がある場合も慎重を期す必要があるでしょう。
子宮頚癌卵巣癌などは、ホルモン補充療法を行うことができます。特に卵巣癌で両側卵巣を摘出されている人では積極的にホルモン補充療法を受けた方がよいでしょう。
その他の悪性腫瘍でも、たいていの場合はホルモン補充療法を受けることができますが、悪性黒色腫(ホクロの悪性腫瘍)では対象外と考えられています。
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*重症肝機能障害
ホルモン剤により肝機能の悪化が懸念されるため対象外となります。胆石症の場合も慎重を期する必要があります。ホルモン補充療法は胆石症の発症率を4倍に増加させるという報告もあります。

*薬剤過敏症
他のホルモン剤を服用した時に過敏反応を経験した人も対象外となります。

*良性腫瘍など
子宮筋腫子宮内膜症・乳腺症などの重症例では対象外となります。中等症以下であれば、慎重に管理を行えば治療対象となります。

*膠原病
ステロイドホルモンの投与が必要な人では対象外となります。

*糖尿病
ホルモン補充療法には、耐糖能を低下させる可能性があるので、コントロール不十分な糖尿病では慎重を期する必要があります。血糖値が十分コントロールされている場合に限り服薬可能と考えた方がよいでしょう。

*高血圧
ホルモン補充療法により虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが高まるという報告があるため、治療は慎重を期す必要があります。重症例では対象外と考えて下さい。

*高脂血症
ホルモン補充療法は脂質代謝を改善して高脂血症を予防する効果がありますが、既に高脂血症がある場合は、まず高脂血症治療薬を服用すべきと考えて下さい。高脂血症治療薬にホルモン補充療法を併用することによって、さらなる効果が期待できますが、ホルモン補充療法には総コレステロールやLDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを増加させるという好ましい効果がある一方、中性脂肪を上昇させる傾向にあることは知っておくべきでしょう。

*偏頭痛
ホルモン補充療法により悪化の可能性がありますので、治療は慎重を期す必要があります。いつも鎮痛剤が必要な人は対象外でしょう。

*浮腫
利尿剤を投与されているような人は対象外と考えて下さい。

*手術歴
近々大手術を受ける予定があったり、最近受けた既往のある場合は血栓形成の危険性を考慮して対象外となります。

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2)生活習慣

*喫煙歴
喫煙は心血管疾患をはじめとする成人病の危険因子であり、何よりも禁煙が優先されるべきであり、ヘビースモーカーの人にホルモン補充療法を行うことはないと考えていただいた方がよいでしょう(ちなみに、避妊のための低用量ピルの場合も、35歳以上で1日15本以上の喫煙者は服用禁忌となっています)。

*高度肥満
肥満も心血管疾患をはじめとする成人病の危険因子であり、まずは適度な運動とカロリー制限で体重管理を行うことが先決でしょう。WHI報告(前述)からいっても高度肥満の場合はホルモン補充療法は慎重であるべきでしょう。

以上の、ホルモン補充療法に関する適応と禁忌についてよく理解していただき、治療によって得られるメリットとデメリットを天秤にかけて、受けるかどうかの選択をなさって下さい。
治療はあくまでもインフォームド・コンセントの下に行われます。

低用量ピルではだめですか?

だめです。目的も使用するホルモン剤(エストロゲン・プロゲストーゲン)の種類も異なっていますから、代用はできません。

いつから治療を開始すべきなのですか?

目的により異なります。更年期障害の症状改善のためには、月経がまだある場合でも治療の対象となります。骨粗鬆症や高脂血症の予防のためには閉経前後から治療を開始することになります。骨粗鬆症の危険因子をもつ人では、月経異常が出現した頃からはじめた方がよいでしょう。
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具体的な治療法は?

*ホルモン剤の選択

エストロゲン製剤
結合型エストロゲン(商品名:プレマリン)、経皮吸収エストラジオール(商品名:エストラダーム・エストラーナ・フェミエスト)、エストリオール(商品名:エストリール・オバポーズ・ホーリン)があります。使い分けは、通常以下の通りです。

1)プレマリン1錠(0.625mg)/日が一般的に用いられます。
2)プレマリンで性器出血などのマイナートラブルが出現する場合は、エストリオール2錠(2mg)/日が用いられます。
3)肝機能障害(軽度)があったり、胃腸が弱かったり、経口剤では更年期障害がよくなったり悪くなったり症状に変動のある場合は、経皮吸収エストラジオール1枚(2mg・1日おきに貼り替え)が用いられます。

プロゲストーゲン製剤
多くのプロゲストーゲン製剤がありますが、ホルモン補充療法の目的から、子宮内膜増殖抑制作用が強く、脂質代謝や糖代謝に影響の少ないものが好ましいと考えられます。この観点から、酢酸メドロキシプロゲステロン(商品名:プロベラ・ヒスロン)が通常用いられています。ただし、使用量を多くすると、悪心・嘔吐・頭痛・倦怠感・浮腫などが出現することがあります。

アンドロゲン製剤
更年期障害のうち、不安感・抑鬱・イライラ感・不眠などの精神神経症状や性欲減退などに効果が期待できます。ほとんどが筋肉注射剤ですが、経口剤としてはメサルモンF(商品名)があります。

投与スケジュール

まだ月経がある場合
周期的投与法といって、毎月5〜6日間の休薬期間を置くことによって月経(消退性出血)を起させる方法です。

注: 周期的投与法の場合は、通常酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)が
   5〜10mg/日使用されます。


閉経後の場合
持続併用投与といって、エストロゲンとプロゲストーゲンをエンドレスに投与する方法です。


子宮摘出後の場合
エストロゲンを単独に連続投与する方法です。

子宮摘出後であれば、子宮内膜癌のリスクが消失しているため、エストロゲン単独療法が行われます。エストロゲンの単独療法が行われる理由は、プロゲストーゲンを併用した方がかえって乳癌発症リスクを上げる可能性があるためと考えて下さい。
ただし、子宮摘出が子宮内膜癌のために行われた場合については、ホルモン補充療法自体が禁忌となるか、初期癌で適応可能と判断されても、プロゲストーゲンの併用は必ず行うこととなります。

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マイナートラブルにはどのようなものがありますか?

*性器出血

一番多く認められるマイナートラブルが性器出血です。持続併用投与を開始した当初の1〜2ヶ月は約80%の人が出血を経験しますが、そのまま服用を継続すれば、徐々に出血の頻度は低下し、1年後には約20%程度に落ち着くとされています。
性器出血が続く場合は、プレマリンを半量(0.3125mg/日)に減量して毎日服用するか、プレマリン1錠(0.625mg/日)を1日おきに服用するか、エストリール2錠/日に変更すると改善します。あるいは、毎月定期的に月経(消退性出血)が来ることに抵抗がない人では、周期的投与法に変更してもよいでしょう。
もちろん、定期的に超音波で子宮内膜の厚さを測定し、ポリープのような内膜病変がないかどうかも検討し、子宮内膜細胞診を行うとともに必要に応じて子宮内膜掻爬による組織診が必要となります。

*悪心・嘔吐

エストロゲンによる悪心・嘔吐であれば、経口剤を経皮吸収エストラジオール製剤に変更するとよくなります。ただし、プロゲストーゲン製剤でも悪心・嘔吐が起こることがありますから、症状が続くようなら投与量を調節することになります。通常、数日で慣れてくることが多いため、しばらく様子を見てから判断してもよいと思います。

*乳房緊満感・乳房痛

症状が強い場合は、エストロゲン製剤の投与量を調節すると軽減します。

*その他の症状

頭痛・倦怠感・傾眠などの精神症状や浮腫をきたすことが稀にありますが、症状が強い場合は、投与量を調節することになります。
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定期検査にはどのようなものがあるのですか?

通常、以下のような検査が6ヶ月毎に行われます。

肝機能検査

長期にわたる場合は、肝機能障害、あるいは胆嚢疾患や胆石症をもたらす可能性があるため、GOT・GPT・γGTP・総ビリルビン・直接ビリルビン・LDHなどが測定されます。なお、もともと軽度肝機能障害がある人では、経皮吸収エストラジオール製剤が用いられます。

脂質測定

総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪(トリグリセリド)を測定します。脂質代謝の改善が不十分の場合は、高脂血症治療薬の併用を考慮する必要があります。

凝固線溶系検査

活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)・プロトロンビン時間(PT)・プラスミノーゲンなどを測定します。ただし、投与前から血栓症のリスクが考えられる人以外では、通常問題になることはないとされています。

骨量測定

ホルモン補充療法の骨密度増加作用は開始後約3年間であり、その後は維持効果に転ずるとされています。したがって、骨量測定で低値であれば他の骨粗鬆症治療薬の併用を考慮する必要があります。

血糖測定

プレマリン+プロベラでは糖代謝に影響を及ぼさないとされていますが、加齢に伴い耐糖能の異常が見出される場合があるため測定されます。
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癌検診

子宮内膜癌(子宮体癌)
WHI報告でも相対リスクは0.83(0.47〜1.47)であり、プロゲストーゲンを併用している限り子宮内膜癌の発症率は増加しませんが、成人病検診の一環として定期的検査が必要なことは言うまでもありません。なお、性器出血はホルモン補充療法中にしばしば認められるマイナートラブルですが、必要に応じて子宮内膜細胞診だけでなく子宮内膜掻爬による組織診も行うことになります。

子宮頚癌
ホルモン補充療法は子宮頚癌の発症率に影響を及ぼしませんが、やはり成人病検診の一環として定期的検査が必要なことは言うまでもありません。

乳癌
ホルモン補充療法によって乳癌の発症率は明らかに増加するため、乳癌検診は必ず受ける必要があります。ここで注意していただきたいのは、厚生労働省は2004年3月より従来の視診・触診のみの乳癌検診を廃止し、40歳以上はマンモグラフィーとの併用を決め、2004年度から全市町村で受診できるように求めていることです。乳癌の死亡率が減少に転じている米国では2年以内のマンモグラフィーの受診率が70%を超えているのに対し、日本では2.1%と極めて低く、意識改革が必要と考えられています。
つまり、不幸にして乳癌が発見されたとしても、乳房温存手術が可能な時期であるようにマンモグラフィー検査を受けて早期発見に努めるべきでしょう。マンモグラフィーを受けたい人は、『マンモグラフィー健診精度管理中央委員会』のホームページ(http://www.mammography.jp)で実施施設等の情報が得られますから参考にして下さい。なお、病院でのマンモグラフィーの窓口は通常外科あるいは放射線科がほとんどですから、ご注意ください。
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その他

血圧測定:プレマリンが血圧に影響する可能性は低いと考えられています。さらに経皮吸収エストラジオール製剤には血圧に対する影響はほとんどないと考えられています。

どれくらいの期間続けたらいいのですか?

服薬期間に“一定のきまり”があるわけではありません。たとえば、骨粗鬆症の予防の観点からは、少なくとも5〜6年以上、なかには一生続けるべきであるとの報告(Quigley)もあります。確かに、65歳以上の女性でホルモン補充療法を中止すると、年間2.5%の割合で骨量が減少するとされ、大腿骨頚部骨折のリスクが懸念されるわけですから、副作用がない限りは服用を続けた方がよいと思われます。

年をとってからの服薬開始は意味がないですか?

高齢者の婦人の場合は、更年期障害の症状からは解放されていると考えられますが、それでもなおかつ骨粗鬆症の予防や脂質代謝の改善の観点から、ホルモン補充療法を行う意義はあるといえます。
70歳の婦人における二重盲検試験でエストロゲンが骨量の減少防止に有効であることが認められていますし、75歳以上の婦人でも大腿骨頚部骨折のリスクを減少させるという報告(Causley)もあります。ただし、できれば閉経前後から治療を開始した方がよいことは言うまでもありません。