山本産婦人科(三重県津市)の不妊症の原因としての黄体機能不全・高プロラクチン血症についてのページです。

不妊症の原因と治療の進め方

第3段階

黄体期の評価

黄体から分泌されるプロゲステロンとエストロゲンの作用を受けて、子宮内膜は増殖期内膜から分泌期内膜へと変化し着床準備を整えます。
したがって、黄体機能不全があると、着床がうまく成立しなかったり、妊娠維持に支障をきたしたりすることになります。

    *黄体機能不全の診断

    基礎体温-------- 1)高温相の持続日数が10日以内。
    2)低温相と高温相の温度差が0.3℃以下。
    3)高温期に一時的な体温の低下を認める。
    血中ホルモン値--- 1)プロゲステロン値が10ng/ml以下。
    2)プロゲステロン/エストラジオール比が50〜55以下。
    超音波検査------ 1)黄体期・子宮内膜厚10mm未満。
    2)黄体期エコー像(線状エコーが不鮮明になり、高輝度
      塊状となるエコー像)が欠如する。
    3)黄体化未破裂卵胞(LUF)の場合は、基礎体温上
      昇後も卵胞消失を認めず増大し、高輝度の内部エコ
      ーを認める。
    子宮内膜日付診--- 1)黄体期に子宮内膜組織診を行い、排卵日からの日付
      に見合う組織所見ではなく、2日以上のズレが認められ
      る。
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    *黄体機能不全の治療

    黄体形成は卵胞成熟の過程から連続した変化であり、正常な黄体機能は正常な卵胞発育と排卵に引き続いて獲得されるものであり、“良好な卵を育て排卵させる”ことが黄体機能不全の治療の基本と理解して下さい。
    したがって、黄体機能不全と診断された場合は、次周期から“よりよい卵を排卵させる”ことを目指すことになります。また、黄体機能不全の人には、高プロラクチン血症を伴っている場合がありますから、高プロラクチン血症が発見されれば、その治療を平行して行うことにもなります。さらに、排卵期のLH分泌(LHサージ)に問題があると思われる場合はその補充療法を行い、黄体を賦活し機能を維持する治療(ルテアル・サポート:Luteal support)を行ったりします。

    黄体機能不全の治療

    • 卵胞発育の改善
      • セキソビットあるいはクロミッド療法
      • セキソビット(クロミッド)+hMG療法
      • hMG+hCG療法
        詳しくは排卵誘発法の所を参照して下さい。
    • 高プロラクチン血症の治療
      • 高プロラクチン血症がある場合は、パーロデル・テルロン・カバサールなどを少量から開始して、検査値により維持量を決めます。
    • 排卵過程の是正
      • LHサージのサポート
        超音波卵胞計測・頚管粘液検査・ホルモン測定などにより排卵時期を推定し、適時にhCG5000単位を筋注することによりLHサージを補充します。
    • 黄体機能の賦活・補充(ルテアル・サポート)
      • hCG療法
        高温相になってから、hCG3000〜5000単位を2〜3日毎に筋注します。
      • プロゲステロン補充療法
        1. デュファストン内服:3錠(15mg)/日、10日間内服。
        2. プロゲストン筋注:
        3. 10mg・10日間毎日筋注
          25〜50mg・1日おきに数回筋注。
        4. プロゲデポー筋注:125mg・1周期に1〜2回筋注。

受精したってわかるの?
残念ながら毎周期受精がうまくいったかどうかを知る方法はありません。受精したかどうかは体外受精などの生殖補助医療 (ART)を行って初めてわかります。したがって、通常の不妊治療においては、妻側に排卵があり、夫側に運動性良好精子があり、頚管粘液の貫通性に問題がない場合は卵管膨大部で受精がうまくいったと仮定して治療を進めているのが現状です。妊娠が成立すれば、当然受精・着床がうまくいった証拠となりますが、妊娠が成立しなかった場合は、受精の障害なのか・着床の障害なのかを明確にすることは困難といえます。