山本産婦人科(三重県津市)の不妊原因としての頚管因子についてのページです。

不妊症の原因と治療の進め方

第2段階

頚管因子のある場合

不妊原因としての頚管因子には、1)頚管粘液の質的・量的異常がある場合と2)精子と粘液との適合性に問題がある場合とがあります。

    頚管粘液の質的・量的異常

    自然排卵周期でエストロゲン分泌に問題がない場合は、頚管粘液は排卵期に量的増加を来し、質的にも牽糸性・結晶形成が顕著で通常精子貫通性は良好と考えられます。しかし、クロミッドで排卵を誘発した場合には、たとえ排卵誘発に成功したとしてもクロミッド自体の抗エストロゲン作用によりしばしば頚管粘液の減少を認めることがあります。このような場合には、以下のような対処法が選択されます。
    頚管粘液の改善方法
    1. エストロゲンの短期投与
      クロミッドに反応して主席卵胞が大きくなりつつある時点で、頚管粘液の改善を目的としてエストロゲン製剤(プレマリン・エストリール)を短期間(5〜7日間程度)投与します。
    2. セキソビット+hMG
      クロミッドを中止し、セキソビット単独投与を試みます。セキソビット単独で排卵がなければ、セキソビット+hMGを行います。

    精子・頚管粘液の適合性異常

    性交後試験(フーナー検査)で異常がある場合は、妻側の血中抗精子抗体の有無を精子不動化試験で、精子結合抗体の有無をインムノビーズテストなどで検討します。
    妻側に抗精子抗体がある場合は、抗体価が高くない場合は配偶者間人工授精(AIH)を試みることになります。抗体価が高い場合やAIHを反復しても妊娠に至らない場合は、治療を体外受精顕微授精などの生殖補助医療(ART)に進めることになります。
    夫側の精子結合抗体が陽性の場合は、抗体産生を抑制するためにステロイド療法を行うこともありますが、副作用が問題となり現在では批判的な報告も多く認められています。精漿中に検出される抗体の大部分が前立腺分泌物由来と考えられることから、分画射精や希釈液中に射精精子を回収する急速希釈法などから得られた調整精子を用いてAIHが行われます。ただし、抗体が精子細胞膜に結合してしまうと洗浄を何度繰りかえしても解離させることは困難であり、AIHで妊娠に至らなければ治療を体外受精顕微授精などの生殖補助医療(ART)に進めることになります。
ちょっと一息 卵子に対する自己抗体
精子に対しての免疫反応が問題となるように、卵子に対しての免疫反応についても検討が加えられてきています。卵子の周囲には糖蛋白で構成される透明帯という部分がありますが、この透明帯に対する抗体(抗透明帯抗体)により受精が障害され、不妊の原因となっている場合があります。ただし、精子抗体の場合よりも検査自体が難しく、現況ではブタ卵を用いて検査されていますが、今後ヒト透明帯に対する特異的な抗体検出法の確立が望まれています。