山本産婦人科(三重県津市)の不妊症に対する頚管粘液検査・頚管スコアについてのページです。

不妊症の検査

頚管粘液検査

    子宮頚管は円柱状の構造をしていて、腟と子宮内腔を結んでいます。内面を被う円柱上皮の90%は粘液分泌細胞で、残り10%は分泌機能を持たない線毛細胞で構成されています。分泌細胞から分泌される頚管粘液は、エストロゲンの作用を受けて周期的に質的変化をきたし、排卵期には精子が貫通しやすい性状となります。

頚管粘液

E型粘液

    排卵期に認められる粘液で、薄い水様の液で満たされた直径約3μmの平行する細導管が形成されます。これらの細導管内に侵入した精子は管の内腔を自由に泳ぎまわるとともに、子宮腔の向かって適正な方向に誘導されます。

G型粘液

    黄体期・プロゲステロン投与時・妊娠初期などにみられる粘液で、水分含有量は少なく粘稠で、広範な架橋結合のため、0.1〜0.5μmの網目を形成しています。
    精子頭部の幅は2.5μmのため、精子はこのG型粘液を通過することができません
(Lunenfeld & Inslerより)

排卵期の“おりもの”について
排卵期頃(生理と生理の中間)には“おりもの”が増えることにお気づきの方も多いと思います。これはエストロゲンの作用を受けて頚管粘液(E型粘液)が増加する生理的なものであり、決して病的なものではありません。
排卵期に腟内に射精された精子は子宮頚管から腟に垂れ下がっている頚管粘液をまるで“鯉の滝登り”のように伝って子宮腔に達します。粘稠な硬い頚管粘液では精子はまるでバリケードに直面したような状態であり、腟内をウロウロ(?)さまようことになり、卵の待つ卵管(膨大部)まではとても到達できません。
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頚管スコア

    以下のように粘液量牽糸性羊歯状結晶形成子宮頚の状態などを観察して、精子の頚管粘液貫通性について評価します。

パラメーター
粘液量 乏しい
少量の粘液を頚管から吸引できる
したたる
きらきら光る粘液のしたたりが外子宮口に見える。粘液を頚管より容易に吸引できる。
滝状
大量の粘液が外子宮口より流出している
牽糸性 軽度
粘液の糸を外子宮口から陰門までのほぼ 1/4
まで中断せずに引っ張れる
中等
粘液の糸を外子宮口から陰門までのほぼ 1/2
まで中断せずに引っ張れる
高度
粘液の糸を外子宮口から陰門までの全長を引っ張れる
羊歯状結晶形成
非結晶粘液
線状
細い線状の羊歯状結晶が数か所みられるが分岐がない
部分的
分岐をもった良好な羊歯状結晶が載物ガラス上に部分的にみられ、他は線状または非結晶粘液
完全
標本の全域にわたり完全な羊歯状結晶形成
外子宮口 閉鎖
粘膜はうすピンク色で外子宮口に細い棒でもほとんど挿入することができない
  部分的開口
粘膜はピンク色で頚管に棒を容易に挿入可能
完全開口
粘膜は充血し、外子宮口は大きく開いている
(Lunenfeld and Insler : 1978)
    頚管スコアが8点以上であれば、精子貫通性の良好な頚管粘液と判断されます。


粘液量については、細いツベルクリン注射器で吸引して量を測定します。

牽糸性というのは、頚管粘液が“糸引き納豆”状にどの程度伸びるかの検査です。スライドガラス上に頚管粘液をとり、何cm切れずに引き延ばせるかを測ります。

   
排卵期の頚管粘液では塩類濃度が高まるため、乾燥させるとNaCl(食塩)の結晶ができます。これを顕微鏡で見ると“シダ状”に見えるため羊歯状結晶形成と呼びます。左はまだ結晶形成が不十分ですが、中央で羊歯状となり、最も良好な場合は右のような十字形成が認められるようになります。
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月経周期における頚管粘液の性状変化


排卵期の頚管粘液の特徴
透明度
無色透明
粘液量
0.3ml以上
牽糸性
10cm以上
結晶形成
著明
頚管スコア
10〜12点