山本産婦人科(三重県津市)の切迫早産とその治療(子宮収縮抑制剤など)についてのページです。

妊娠中期の出来事

早産するってどういうこと?

妊娠22週0日〜36週6日の間にお産になる場合を早産(早期産)と呼びます。妊娠22週未満の場合は流産と呼ぶわけですから、流産と早産は単に時期の違いであり、同一線上にあるものと理解して下さい。流産と早産の区切りには、生育可能な赤ちゃんの生まれるチャンスがあるかどうか(難しく言えば、優生保護法第2条第2項「母体外においてその生命を保続することのできない時期」の解釈)にかかっていて、医学の進歩により少しずつ前(妊娠週数が若い時期)に変更されてきています。現在は22週とされていますが、1990年1月までは24週がこの区切りでした。

早産がこわいのは、赤ちゃんの最大の死亡原因となっているからです。生まれた時の体重が、1,500g未満の場合を極小未熟児・1,000g未満の場合を超未熟児と呼びますが、当然ながら、生まれた体重が小さければ小さいほど、週数が若ければ若いほど、正常な生育が困難となります

それでは、どんな人が早産になりやすいのでしょうか?

かなり昔のデーターですが、Zuspanという人が、下の表のようなリスク因子をあげていて、スコアの合計が10点以上になると早産の危険性が高いとしています。

早産のリスク表

スコア 社会的因子 既往産科歴 日常の生活条件 今回の妊娠異常
1 2児をもつ
低経済状態
妊娠前期流産1回
分娩後1年以内の妊娠
勤労婦人 疲労
2 20歳以下
40歳以上
未婚(離婚、死別)
流産2回(前期) タバコ1日10本以上
コーヒー6杯以上
異常体重増加
(32週、5.4kg以上)
蛋白尿、細菌尿
高血圧
3 貧困
低栄養
短小(150cm以下)
体重(45kg以下)
流産3回(前期) 強度の不安
重労働
長途の旅行
疲労感のある旅行
骨盤位(32週)
体重減少(2kg)
児の固定(34週以内)
発熱疾患
子宮筋腫
4 18歳以下の妊娠 腎盂腎炎   出血(12週以後)
頸管開大・展退
(36週以前)
子宮疾患
5   子宮奇形
中期の流産
DES使用
  前置胎盤
羊水過多症
10   未熟産
中期の流産2回以上
  双胎
開腹手術
注:DES・・・・・ホルモン剤の1種ですが、現在は使用されていません。

この表からも読み取れる要点

    1. 以前に早産したことのある人は、次も早産になりやすい。
    2. ふたごの妊娠は早産になりやすい。
    3. 腎盂腎炎などの尿路感染症は早産を引き起こしやすい。
    4. 内診で子宮頚管が柔らかく・短くなってきている人は早産になりやすい。
    5. 妊娠初期(12週以後)に性器出血を認めたことのある人は早産になりやすい。
    6. 子宮筋腫や発熱疾患があると早産になりやすい。
    7. 過労は早産を引き起こしやすい。
    8. 禁煙すべきで、コーヒーもガブ飲みするべきでない。
どうですか?該当しませんか?心あたりのある方は十分注意が必要です!
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では、早産ではどのような症状が出るのでしょうか?
(1)お腹が張る・時にはお腹が痛い、(2)腰が重い、(3)性器出血(子宮出血)がある
(4)お水のようなおりものが出たなどがその症状で、このような症状をきたした状態を切迫早産と呼びます。
つまり、“早産”の危険が“切迫”していて、治療を要する状態というわけです。
この内、“お水のようなおりもの”が一番やっかいで、“破水”のことがあり、治療をしても“もたせる”ことができない場合が多く認められます。

それでは、切迫早産はどのように治療されるのでしょうか?
まず、その前に“予防に優る治療はない”ことを理解すべきでしょう。上のリスク因子がある人はもちろんのこと、そうでない人もふだんの生活習慣を見直し、問題がないようにしておくべきでしょう。

切迫早産の治療

    1. 安静
      基本は安静です。お薬は安静があってはじめて効果が出ると考えて下さい。
    2. お薬(子宮収縮抑制剤)
      “お腹の張り”を抑えるために、1日2〜4回服用していだだきます。
    3. 入院加療
      子宮の出口(子宮頚管)が緩くなってきていたり、ご自宅の安静・服薬だけでは治療効果が望めない場合には、入院が必要となります。
      必要に応じて、子宮収縮抑制剤を点滴で静脈注入することになりますが、微量点滴といって、点滴ポンプで1時間あたり10〜20mlというわずかな量を24時間 ・持続的に投与します。トイレに行くのも点滴ポンプが一緒です。お風呂も 回数が制限されてしまいます。
      QOL(Quality Of Life:生活の質・ここでは妊娠生活の快適性)を考えた場合、 できるだけ、点滴ポンプと“お友達”にならずにすむよう、予防につとめましょう。
    4. 子宮頚管縫縮術
      子宮の出口(子宮頚管)が緩く・短縮してきている場合(子宮頚管無力症といいます)に、子宮頚管縫縮術といって、子宮頚管を“巾着(キンチャク) ”状に縫い縮める手術を行うことがあります。
      37週以降に縫った糸を抜き、お産にもっていきます。

早産では、胎児の肺が未熟のため呼吸不全に陥るのが特に問題となります。最近では、サーファクタントといって、ふくらんでいない肺をふくらませる物質が開発され、呼吸不全の治療成績が良くなってきていますが、生物製剤は使わないで済むにこしたことはないと思います。肺の成熟度は妊娠35週をこえると良くなりますので、早産であっても少なくとも妊娠35週をこえるようにしたいものです。

妊婦さんが、性行為でオーガズムに達すると、15分以内に子宮収縮が起こることが知られています。妊娠中にオーガズムを経験している妊婦さんは、オーガズムに達していない妊婦さんより早産率が高いことも報告されています。妊娠中の性行為は過度にならないようホドホドに。