山本産婦人科(三重県津市)の腰痛・仰臥位低血圧症候群・胎教などについてのページです。

妊娠中期の出来事

マイナートラブル119!

妊娠初期」および「妊娠末期」の“マイナートラブル119!”も参考にして下さい。

1. さかご(骨盤位)

赤ちゃんは羊水の中で自由に宇宙遊泳(?)している状態です。左右・上下に向きを変えて活発に動き回っています。妊娠中期では3人に1人は“さかご”の時期なので、心配する必要はありません。妊娠28週以降になっても“さかご”の場合は、“さかご体操”をあらためて指導させていただきます。

2. 不眠

妊娠中はホルモンバランスが変わるため、夜の寝付きが悪くなることがあります。
軽い運動をしたり、就寝前に入浴したり工夫してみるとよいでしょう。睡眠薬はおすすめできません。

3. むねやけ

大きくなった子宮によって胃が圧迫されると、胃の一部が横隔膜上に押し上げられ、胃液の逆流がおこります。
“むねやけ”は逆流した胃液による食道粘膜の刺激なので、寝るときは頭を少し高くして、逆流を少なくするとよいでしょう。また、胃液の酸度を下げるお薬によっても症状が軽くなりますから、外来でご相談下さい。
子宮による胃の圧迫
【▲子宮による胃の圧迫】

4. 手指のしびれ

手首では、正中神経という神経が骨で囲まれた小さなスペースを通っています。このスペースにむくみ(浮腫)が出ると、神経が圧迫されて、手指のしびれやピリピリした痛みが出ます。これを手根管症候群といいますが、妊娠高血圧症候群になりかけた可能性もあり、減塩食を守って下さい。場合により、外来で漢方薬をお出しします。 手首の断面
【▲手首の断面】

5. 腰痛・下肢痛

大きくなった子宮により体の重心が移動すると、脊柱は前方にわん曲度を増すことによってバランスを保とうとします。

この脊柱のわん曲により、腰の神経が圧迫されて症状が出ます。時には下肢に痛みが走ることもありますが、症状が強ければ、念のため整形外科医にも相談して、他の病的な状態がないことを確認してもらいましょう。体重増加は症状を悪化させますので、太らないことが一番大切です。 運動により、症状を軽くすることも期待できますので、少しがんばってみてはどうでしょうか。本院では、マタニティ・ピラティスの講座を開いていますので、参加してみてはいかがでしょうか。
妊娠による脊柱の前湾
【妊娠による脊柱の前湾▲】
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自宅でできる運動とリラックス

切迫流・早産の症状がない場合は、毎日少しずつ運動をしましょう。
    1. 足を交互に上げて、軽い腹筋運動をしましょう。
    2. 背スジを伸ばしたり、曲げたりして、背筋 を刺激しましょう。
    3. 椅子を使って膝の屈伸運動をしましょう

【1 .下肢の挙上】



【2 .背筋運動】



【3 .膝の屈伸】
運動だけでなく、リラックスすることも大切です。
    1. ソファやベッドの上で、上体を少し上げた状態で、頭と肩に枕をあてがい、もたれかかってリラックスしましょう。
    2. 上向きの場合は、太ももの後に小さな枕を置いてリラックスしましょう。
    3. 横向きの場合は、胸と折り曲げた膝の下に枕を置いてリラックスしましょう。
      ただし、このうち、(2)の上を向いたリラックスは、妊娠末期に近づくにつれて、苦しくなることがあります(妊婦仰臥位低血圧症候群)ので、妊娠週数が進むにつれて(1)と(3)の姿勢でリラックスするのがよいでしょう。

【1 .半座位でのリラックス】



【2 .仰臥位でのリラックス】



【3 .シムズ体位でのリラックス】

“舞い上がり症候群(!?)”について

リラックスすることに慣れておくことは、お産の際に非常に重要になります。まれに“陣痛の痛みで舞い上がってしまう”人がいますが、たいていは、このリラックス=筋肉を弛緩させて十分休息をとることに不慣れなためといえます。病院の端から端まで聞こえるような声は、できれば上げたくないですよネ。リラックス!リラックス!母親学級への参加もお忘れなく!ちなみに、“舞い上がり症候群”は初産婦さんだから起こしやすい、経産婦さんだから起こしにくいというわけではありません。要は、日頃のリラックスに対する意識の持ち方が大切でしょう。念のため。
年間1〜2名でしょうか。これも念のため。
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6. “おりもの”の増加

妊娠中は代謝の亢進・ホルモンの変化・腟壁の血管増殖などにより、だれでも“おりもの(腟分泌物)”の量が増えます。白色のミルク状であれば、多量になったり、悪臭がしない限り心配する必要はないでしょう。

カンジダ腟炎

妊娠中は“カンジダ腟炎”といって、真菌(カビ)による炎症をよく起こします。 外陰部が痒かったり、“カッテージチーズのようなモロモロのおりもの”が出る場合は、外来で相談して下さい。カンジダはカビの一種ですから、予防策はふだんから外陰部を高温多湿にしないことです。これは、お風呂場で風通しが悪くな るとカビが出るのと同じ理由です。通気性の良い下着を着用し、ムレないようにすることが大切でしょう。カンジダは、産道感染といって、お産の時に赤ちゃんにうつることがあります。鵞口瘡といって赤ちゃんの口の中にカビがはえてしまいますから、お産までには治しておきましょう。
カンジダについての詳細

その他の腟炎・腟症

特別な原因で起こる特異性腟炎(トリコモナス腟炎淋菌性腟炎など)、一般細菌による 細菌性腟炎、ガルドネレラ・マイコプラズマ・嫌気性菌による細菌性腟症があります。
また、クラミジア淋菌による子宮頚管炎でも“おりもの”が増えます。
性行為感染症として問題があるだけでなく、切迫流産早産の原因となることがあるため、 “おりもの”が異常に多く、緑がかっていたり、膿状である場合や、生臭い嫌なにおいの ある時は、受診時して相談しましょう。
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7. 子宮の圧迫によるトラブル

妊娠中には大きくなった子宮により、静脈が圧迫されてうっ血が起こり、さまざまな症状が出ます。

肛門周囲の静脈のうっ血で起こります。残念ながら、子宮の圧迫がなくなる分娩後までは、なかなか直りません。ぬり薬や座薬を差し上げますから、外来でご相談下さい。

静脈瘤

下肢・外陰部・腹壁などに出ます。長時間の運動や立ち仕事は、症状を悪化させますので避けましょう。下肢の静脈瘤は弾力ストッキングでやわらげることができます。外来でご相談下さい。

仰臥位低血圧症候群

お腹の大きくなった妊婦さんでは、長い間天井を向いて寝ていると気分が悪くなることがあります。顔色が悪くなったり、吐き気がしたり、冷や汗をかいたり、息苦しかったりします。これは大きくなった子宮がお母さんの下大静脈という大きな血管を圧迫して、心臓への血の巡りを悪くするために起こります。症状が出たら体を横向きにして休んで下さい(側臥位)。しばしば起こる人では、寝るときも横向きにするか、頭を高くして(半座位)寝るとよいでしょう
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8. 転倒の危険

お腹が大きくなると、足元がよく見えなくなります。重心が不安定になりやすいハイヒールや引っかかりやすいサンダルなどは履かないようにしましょう
階段の昇り降りでは、踏みはずして転倒することがありますので、手すりを持って1歩ずつゆっくりと昇降しましょう

9. 陥没乳頭・扁平乳頭の手当

乳首が扁平だったり、陥没している人は、母乳哺育に向けて乳首の矯正を行っておきましょう。ただし、乳首を刺激すると、子宮の収縮が誘発されやすいので、切迫早産のおそれのある人は、あらかじめ外来で相談してください

10. 皮膚のトラブル

シミ・ソバカスや妊娠線も気になるかもしれません。髪の毛もパサパサになり、抜け毛が目立つ人もいるかもしれません。皮膚の痒みに悩まされる人もいるかもしれません。ヘアケアやボディケアに気をつけて、産後には元の美しさが取り戻せるよう心がけましょう。

11. 衣服

お腹が大きくなるにつれ、衣服はゆったりとして、締め付けることがないようにしましょう。肌着は刺激性の少ないコットン製がよいでしょう。ブラジャーは1つ〜2つサイズを大きめに、ショーツは前丈が長く、お腹をスッポリ覆うことができるゆったり目のものがよいでしょう。サポーターは、はらおび(腹帯)・ガー ドル・腹巻きのいずれでもよいのですが、外出時・受診時などTPOに応じて使い分けてもよいでしょう。

12. 育児に対する不安

はじめてのお産をむかえる妊婦さんでは、育児に対する不安があって当然だ思います。出産前後小児保健指導事業(ママのすこやか相談)を利用してはどうでしょ うか。津市在住の方を対象として、育児などに関する小児科医の保健指導が、妊娠中から出産後2ヶ月未満の間に1度無料で受けられます。不安の解消につながるとともに、小児科の“かかりつけ医”を選ぶ参考になると思います。
津市在住の初妊婦の方で、ご希望があれば外来受診時にお申し出下さい。
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13. 胎教について

よく「胎教によい」・「胎教に悪い」と言いますよね。胎教って何でしょうか?
たしかに胎児の聴覚は妊娠末期になれば発達してきていて、周囲の音を聞く能力があるとされています。ただし、子宮の中では、私たちが空気を伝って聞いている音とはかなり違ったイメージで聞こえていることは想像できると思います。 まわりには「グルグル」いう腸管音があり、血管の中を血液が流れる音があり、お母さんの心臓の音もあります。常に途切れることのないこれらの雑音の中で話しかけても、羊水の中でスキューバーダイビングをしているような赤ちゃんには、はっきりとは聞き取れないと思われます。

しかし、ある研究者によれば、「お母さんの話しかける言葉で、その内容の違いは理解できないが、お母さんの持つ独特の声の抑揚(パターン・リズム)は認識できる。赤ちゃんはお母さんの声は生まれてすぐわかるが、お父さんの声はずっと後になるまでわからない」としています。

まあ、“音楽の才能が伸びるようにモーツアルトを”とか“頭がよい子になるよう---?---をする”とか高望みせず、“母子の絆を強める”という意味で話しかけてあげましょう。

話しかけることは、母性の自覚(“母親になるんだな〜ぁ”という自覚)を持つことにもなりますし、よい音楽を聴けば、ゆったりとリラックスでき、アドレナリンの分泌を抑えて(!)心安らかになるでしょう。つまり、母体のメンタルヘルスをベストに保つことが、ひいてはお腹の赤ちゃんの状態を間接的に良くすることになるでしょう。それが「胎教によい」ことなのではないでしょうか。