山本産婦人科(三重県津市)の便秘・立ちくらみ・皮膚の痒みなどの妊娠中のトラブルについてのページです。

妊娠初期の出来事

マイナートラブル 119!

妊娠中期」および「妊娠末期」の“マイナートラブル119!”も参考にして下さい。

1. 便秘

妊娠初期にはプロゲステロンというホルモンが増加することによって腸管運動が抑制されます。また、妊娠中期以後では大きくなった子宮による腸管圧迫・横隔膜の運動性低下・腹筋の筋力低下などが加わることにより排便が抑制されます。要は、妊婦さんには便秘はつきものだと言えるでしょう。 
便秘を防ぐには、ふだんから食物線維を多く摂ることが大切です。食物線維は、玄米・野菜・いも類・豆類・果物・海藻などに多く含まれていますので、これらをうまく組み合わせた献立を工夫しましょう。(1)朝起きたら冷たい牛乳を飲み、(2)軽い運動をし、(3)十分なトイレ時間をとってみてはどうでしょうか。それでもダメなら、外来にてご相談下さい。必要に応じてお薬をお出しいたします。

2. 歯肉炎・虫歯

妊娠中はホルモン環境の変化により、歯肉炎といって歯肉が腫れやすく、赤くなったり、出血したりします。また、つわりにより口腔内の衛生が怠りがちになり、虫歯になりやすくなります。歯科受診をして直してもらいましょう。麻酔をかけて抜歯をしても大丈夫ですし、痛み止めや抗生物質(セファロスポリン系、セフェム系)も問題ありません。心配なら妊娠13週以降に治療を受けるとよいでしょう。ただし、妊娠末期になると、治療で仰向けになると苦しくなることがある(仰臥位低血圧症候群)ので、早めの治療がおすすめです。妊娠末期に治療を受けなければならない場合は、座位に近い姿勢で受けるとよいでしょう。いずれにしろ分娩までに歯に問題がないようしておくことが大切です
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3. 立ちくらみ

妊婦さんは、時々“貧血”で倒れることがあります。これは、いわゆる“血が薄くなる貧血”とは別物で、妊娠すると自律神経が不安定になるためです。体位変換(寝ている→座る→立つなどの動作)をすると、通常は下半身の静脈が適度に収縮して、血圧を一定に保とうとしますが、妊婦さんではこの調節機能がうまく働かなくなります。そのため、血圧が一時的に下がり、“フラッ”とくるわけです。決してめずらしいことではありませんのでご心配なく。妊娠中は動作を極力ゆっくりにし、朝起き上がる時もサッと起き上がるのではなく、ヨッコラショと、ひと呼吸おいてから動くとよいでしょう。

年間1〜2名の妊婦さんが、“失神?”のため救急車で運ばれてきます。たいていはショッピングセンターからが多いのですが、サッササッサと動き回っていると、“バタン”と倒れて救急車のお世話になるというわけです。病院に着いた頃には、“ケロッ”としているのですが、“救急車に乗る体験”はできれば避けましょう。

4. こむら返り

妊娠さんでは、“足がつる”ことがしばしばあります。カルシウム不足が一因となっていますので、ふだんからカルシウムを十分摂るように心がけましょう

5. 鼠径部の痛み

妊婦さんでは、足の付け根(鼠径部)に痛みを訴えることがあります。これは子宮から鼠径部を結び、子宮自体を固定している靱帯(子宮円靱帯)が痙縮するためで、足のこむら返りと同じ原因で起こると考えられます。カルシウムを十分摂るように心がけましょう。左に比べ、右側の足の付け根に症状が出やすいようですが、短時間でおさまるようであれば、心配はいりません。まれですが、足の付け根が腫れて、押さえると痛い場合は、鼠径ヘルニアの嵌頓(腸が鼠径管に出てきて戻らない状態)も考える必要がありますので、受診して下さい。

6. 陰部の不快感

妊娠中は代謝が亢進するため、汗をかきやすく陰部が不潔になりやすいので、注意しましょう。毎日入浴し、下着を替えるよう心がけることが大切です。下着は吸湿性があり、皮膚への刺激の少ないコットン製がよいでしょう。妊娠中は生理的に腟分泌物が増加しますが、量が著しい場合や痒みを伴う場合は、『カンジダ腟炎』などの疾患のこともありますから、受診して相談して下さい。
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7. 皮膚のかゆみ

妊婦さんの皮膚掻痒症は、入浴後やおふとんに入った時など体が温まるとかゆいのが特徴です。引っ掻くことによる皮膚刺激が、さらに痒みを増すことになりますので、皮膚を刺激しないようにしましょう。また、乾燥肌の人は保湿にも心がけましょう。症状が強い場合は、受診してご相談下さい。専門医の治療が必要な場合は、山本皮フ科をご紹介いたします。
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8. 頻尿

妊娠初期の頃“トイレが近い”のは、決して異常ではありません。その他の症状(排尿痛・血尿)がない限り、様子をみていてもよいでしょう。ただし、無症候性細菌尿といって、膀胱炎などの症状がないのに、尿の細菌培養を行ってみると細菌が見つかることが、妊婦さんでは2〜8%あり、この陽性者の30%は将来腎盂腎炎にかかるリスクがあります。腎盂腎炎になると、背部痛を伴った40℃以上の熱発をきたし、早産を引き起こすこともあります。必要に応じて尿の細菌培養検査を行っていますので、外来でご相談下さい。

9. 乳房の変化

妊娠に伴い、お乳が張って痛くなりますが、ホルモンの影響であり、異常ではありません。乳輪は色素沈着が進み黒ずんでくるとともに、乳輪腺という小さなブツブツもはっきりしてきます。妊娠16週頃には、押さえるとお乳初乳)も出てきます。これらはすべて生理的変化であって、異常ではありません。

乳輪に出てくる乳輪腺(小さなブツブツ)は、モントゴメリー腺(Montgomery's glands)とも呼ばれ、先々、赤ちゃんに対するフェロモンを分泌する組織なのですよ!赤ちゃんは自分のお母さんのお乳だけをこのフェロモンによって嗅ぎ分けることができるって不思議ですよね!
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10. 性生活

妊娠初期は不安定な時期なので、“子宮という局所の安静”を保つという意味で、性交渉は無理をしないようにしましょう。過激な動きにならないよう、長時間に及ばないよう、深い挿入を避けるよう、ご主人に協力してもらいましょう。

11. 美容(パーマ・カラーリング)

妊娠中にパーマをかけたり、カラーリングをしても問題はありません。だだし、“つわり”の時期は、周囲の臭いで症状が悪化したり、長時間同じ姿勢をとっているのが苦痛かもしれません。妊娠中期が一番適した時期でしょう。また、妊娠中は手入れの簡単なショートカットにするのも1つの選択枝かもしれません。

12. 旅行・外出

家族旅行などの遠出を予定するのであれば、胎盤の完成する妊娠15週以降がよいでしょう。妊娠15週以降でも、子宮頚管がゆるめ(子宮頚管無力症)で、切迫流産が心配されている人では、お出かけは控えられた方がよいでしょう。車の運転も短時間であればかまいませんが、長距離のドライブは好ましくないと思います。あちこち観光地をめまぐるしく回るのではなく、ゆったりとしたスケジュールにしてはどうでしょうか?“ご主人とシティホテルでのんびり”なんていうのも、これから先の育児を考えると、貴重な時間の使い方になるのかもしれません。温泉もかまいませんが、妊婦さんでは自律神経が不安定なので、“湯あたり”しやすく、くれぐれも長湯しないように!裸で倒れるのは、あまり格好のよいものではないでしょう(「立ちくらみ」のところも読んで下さい)。

  1. 道交法では、妊娠中でもシートベルトは装着しなければならないと思いますが、シートベルトは、お腹を圧迫しないよう、子宮のふくらみを避けて装着しましょう。
  2. エコノミークラス症候群ってご存知ですか?サッカーの高原選手がかかったことから、よく知られるようになってきていますね。
    航空機内で水分をあまり摂らずに座席でジッとしていると、下肢の静脈に血液のウッ滞がおこり、血栓ができやすくなります。できた血栓は動いた瞬間に血流に乗って心臓から肺に運ばれ、肺の血管に詰まってしまいます。こうなると肺梗塞といって、命にかかわる重篤な状態となるわけです。
    20代の若い女性の死亡例も報告されていますし、高原選手のようなアスリートでもかかるわけですから、十分な注意が必要でしょう。
    妊娠中に海外旅行を予定している方もいるでしょうが、長時間のフライトはおすすめできません。この病気の原因は、“脱水状態で同じ姿勢を長くとる”ことですから、エコノミークラスの利用者だけでなく、ビジネスクラスでも、ファーストクラスでも、また、車での移動中でも起こりうるということを知っておくべきでしょう。車で移動する場合でも、(1)水分をこまめに摂り、(2)サービスエリアで車から降りてこまめに動くことが大切でしょう。