山本産婦人科(三重県津市)の分娩予定日・過期産についてのページです。

妊娠末期の出来事

分娩予定日って本当に予定日?

結論的に言って、分娩予定日はあくまでも予定日でしかありません。つまり、 単に“ヒト(ホモサピエンス)では、在胎日数280日(40週0日)が統計的に一番お産になる頻度が高い”というにすぎません。

37週未満のお産を早産、37〜42週未満のお産を正期産、42週以降のお産を過期産と呼びますが、400万例の自然分娩を調べた結果では、早産は11%、過期産は9%の頻度で認められ、残りが正期産となっています。
早産はできれば避けたいお産であることは、すでにおさらいしましたね。では、過期産はどうでしょうか?

過期産の問題点

赤ちゃんを養っている(1)胎盤の機能が低下してくることと、(2)羊水の量が減少してくることが主な問題点です。
    1. 胎盤の機能低下
    胎盤は“毛細血管のかたまり”のような構造をしていて、お産のあとは“あと産”として役割を終える特殊な臓器ですが、時間の経過とともに“老化現象”が認められることに問題があります。 “老化現象”が進んでくれば、胎盤で養われている赤ちゃんにも影響が及び、お産の際のストレスに耐えうる予備能力が低下してきます。
    2. 羊水量の減少
    予定日を過ぎてくると、赤ちゃんの腎臓の血流量が減少し、“おしっこ”の産生量 が低下してくるので、羊水量が減少してきます(羊水の多くは“おしっこ”で成り立っていることはおさらいしましたね)。
    羊水は赤ちゃんや“へその緒”にとってクッションの役割を果たしています。羊水のクッションが減少してくると、陣痛によって子宮が収縮した際に“へその緒”が子宮の壁と赤ちゃんの体の間に挟まれて圧迫を受けやすくなります。“へその緒”は赤ちゃんの命綱であるわけですから、この事態が続けば赤ちゃんにとっては一大事ということになります。実際、過期産の問題点として、胎盤の機能低下よりも羊水量の減少の方がリスクが大きいと考える研究者もいます。
    3. 過期産で生まれた赤ちゃんの特徴
    皮下脂肪が少なくやせ気味で、皮膚は黄色く染まり、一部の表皮が剥がれ(落屑)、手のひらや足裏はシワシワなのが特徴です(クリフォード症候群という呼び名がつきます)。
    4. 過期産におけるその他の異常
    1. 羊水が濁りやすい(羊水混濁)、
    2. 胎児仮死の頻度が上がる、
    3. 帝王切開術の機会が多くなる、
    4. 赤ちゃんが生まれてから呼吸不全(胎便吸引症候群)になりやすいなどがあげられます。

    これらのことから、できれば過期産にならないに越した事はないといえます。
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羊水が濁る(羊水混濁)のは、赤ちゃんが生まれる前に“うんち”をしたことを意味します。いずれかの時点で赤ちゃんが少し苦しくなり、肛門括約筋が緩んだために、排便が起こるわけです。
“おしっこ”は羊水のもとですから問題はないのですが、“うんち”はよくありません。赤ちゃんの“うんち”は胎便といって無菌的ですから、決して汚いわけではありませんが、気管から肺に吸引されると“うんち”により気道が詰まり呼吸不全(胎便吸引症候群)が起こるのが一番問題となります。

過期産は42週以降のお産ですから、予定日を過ぎて2週間までは、定義上正常範囲となっています。ただし、赤ちゃんの死亡率は42週から急に上昇してくるので、できれば41週には分娩にもっていった方がよいとの報告もあります。私も「赤ちゃんが元気なうちに産ませてあげる」という考えには賛成で、41週になってお産の条件が揃い、ご本人が希望すれば、42週まで待たずに分娩にもっていくことをおすすめしています。

ご家族におじいちゃん・おばあちゃんがおみえになると、正期産であっても予定日の2〜3週間前にお産になることを非常に心配されることがあります。
今までお話しましたように、この時期にお産になっても何ら心配ないことを説明してあげて下さい。それより、産婦人科医は予定日を過ぎても痛んでこない妊婦さんの場合を心配します。ノンストレステスト羊水量の測定を頻繁に行い、子宮の出口(子宮頚管)の成熟具合を見ながら「さて、いつお産にもっていくべきかな?」と悩むわけです。