山本産婦人科(三重県津市)の難産・安産・無痛分娩についてのページです。

妊娠末期の出来事

難産になりたくないし、痛いのもごめん!


誰でも難産より安産の方がいいですよね!

5ヶ月の“犬の日”に「はらおび」をまくのも、“犬みたいにスルッと産みたい”という究極の願いが込められているからですよね。もっとも最近では、「犬の世界」でも肥満を含め“生活習慣病”が蔓延し、帝王切開術を受けるケースが増えてきているようですが…。

では、お産はいったいどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

まず、分娩第1〜3期に分類されるお産の進行状況を理解しましょう。

よ〜ぃスタート ----------- 陣痛が10分に1回以内となった時点 分娩第1期
そろそろ“いきんで”いいかな -- 子宮口が全開大(10cm開いた時) 分娩第2期
オギャ〜ァ -------------- お誕生おめでとう! 分娩第3期
ヌル・スルリ ------------- あと産(胎盤娩出)
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では、それぞれの進行時期にかかる時間はどれくらいなのでしょうか?

分娩所要時間

  第1期 第2期 第3期
初産婦 10〜12時間 1〜2時間 15〜30分 11〜15時間
経産婦 5〜6時間 30分〜1時間 10〜20分 6〜8時間
  • はじめてのお産(初産婦)と2度目以降のお産(経産婦)では、かかる時間にかなりの違いがあることがわかると思います。
  • 分娩第1期に一番時間がかかっていることもわかると思います。

“安産”つまり「お産が楽だった〜ぁ」と思えるには2つの要素があります。
1つはお産の時間の短縮であり、もう1つは精神的安定であると思います。
つまり、1)分娩に余分な時間がかかってしまうような要素をできるだけ避け、2)一番時間のかかる分娩第1期をできるだけ快適に過ごせるように心がけることが“安産”につながるのだと思います。

それではお産に時間がかかる理由は何でしょうか? 1.身長が低い、2.骨盤が狭い、3.高齢である、4.肥満である、5.陣痛が弱い、6.赤ちゃんが大きい、7.赤ちゃんの頭の回りぐあいがよくない(児頭回旋異常)などが考えられます。

それぞれ1つずつ見てみましょう。
    1. 身長:今さら伸びないですよね。
    2. 骨盤:拡げられません。
    3. 高齢:若がえれません。
    6. 赤ちゃんの大きさ:育ったものは小さくできません。
    7. 児頭回旋異常:幸いまれです。
これらはすべて努力して変えられるもんじゃないですよね!

では、“4. 肥満”はどうでしょうか?これは明らかに本人の自覚と努力でしょう!

残りの“5. 陣痛が弱い”はどうでしょうか?
現実的には、他のすべての条件が良いのに、陣痛だけが弱いために、お産に時間がかかるという人はほとんどいません。いたとしても、お薬でほんの少しあと押ししてあげれば、問題は解決するはずです。むしろ、赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤の中にスムーズに入ってこれない状況が引き金となって、結果的に“有効な陣痛が起きてこない”ことがほとんどです。 そして、その大きな原因が、お産の通り道(産道)に余分な脂肪が巻き、狭くなってしまう“4)肥満”でもあるわけです。妊娠中期のところで体重の管理についておさらいしましたし、肥満では、妊娠高血圧症候群になる危険性も3倍にはね上がることもおさらいしましたね。要は、“妊娠にとって肥満は百害あって一利なし”といえます。 注意!注意!
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“安産”のための精神的安定はどのようにして得られるのでしょうか?
何をするにしても「心の準備」って大事ですよね!「心の準備」のないまま経験のないことをすれば、パニクルことにもなりかねないですよね。
“心安らか”に一番時間のかかる分娩第1期をうまく乗り越えることができれば、“楽なお産”を体験することにもつながると思います。

では、「心の準備」はどのようにしたらよいのでしょうか?

1. まず無知を避けましょう。

知らないから不安になる。不安になるから“舞い上がる”のはやめましょう。お産の知識を得るために、母親学級には進んで参加しましょう。そして、わからないことは進んで質問しましょう。
本屋さんに行けばマタニティ雑誌・マタニティブックが溢れています。少し読んでみるのもよいでしょう。車の運転免許だってペーパーと実地がありますよね。ペーパーテストなしにハンドルを握るなんてことはないですよね。
だだし、何冊も買い込んで頭の中が混乱しないように!頭でっかちになりすぎないように!織田裕二の「事件は現場で起きている!」じゃないですが「お産は分娩室で起きている!」なのだから。あくまでも理論は理論、実際は実際ですよ。
マタニティ雑誌なら、買い求めなくても病院の待合室にもあります。利用してみてはいかがでしょうか。

2. リラックスの方法を学びましょう。

陣痛には発作期間歇期があります。発作期は当然“イタ〜ィ”と感じる時期ですが、時間にして40〜50秒間程度です。この間ずっと痛いのではなく、徐々に痛みが出だし、極期と呼ばれる一番痛い所を経て、また徐々に引いていきます。ちょうど打ち寄せるさざ波のように変化するわけです。
間歇期は陣痛開始の10分間程度から始まって、お産の経過とともに徐々に短縮してきます。

陣痛というのは子宮が収縮して起こるわけですから、赤ちゃんを産むための駆動力(娩出力とも言います)として大切であり、避けては通れない感覚であることをまず認識して下さい。
あなたも大変だけど、赤ちゃんもお腹の中で頑張っているんだから! 
また、あなた自身もあなたのお母さんが同じ経験をした結果、この世に存在しているのだから!

痛覚という痛みに対する感覚は個人差があり、非常に有効な強い陣痛がきていてもそれほど痛がらない人もいれば、まだ序の口の陣痛(開口期陣痛と言います)なのに、 オーバーリアクションされる人もいます。
では、何が痛みに対する反応を悪化させているのでしょうか?
それは、筋肉を弛緩させて十分リラックスすることに不慣れなためと言うことができます。痛みに対して必要以上に身構えてしまって、いきむべきでない時にいきんでみたり、全身を硬直させたりするから、痛みの感覚が増強してしまうのです。

麻酔に頼らない和痛分娩法として、古くからラマーズ法・ソフロロジー法・リーブ法などが提唱されてきています。
ラマーズ法は、陣痛の発作期に短くて浅い胸式呼吸を行うことで痛みから気をそらし、間歇期には意識的に全身の筋肉の力を抜いて弛緩することによって痛みを軽減 する方法です。ソフロロジー法はヨガの呼吸法と禅の精神統一を加味した方法です。 リーブ(RIEB)法は中国の気功をヒントに開発された方法です。
いずれにしろ、“適切な呼吸を行い、いかにうまくリラックスできるか”“運動を取り入れ、お産に対していかに良いイマジネーションを育てていけるか”がポイントだと思います。
分娩中の呼吸法についてはこちらもご参照してください。

本院では母親学級で呼吸法の実際を指導するとともに、 ピラティス講座 でリラックスの方法を習得していだだいています。奮ってご参加下さい。

臨床経験上の話ですが、身長が低めの方でもスリムな人では、案外お産はスムーズです。身長があっても、もともと体重の持ち越し(?)があり、妊娠中にさらにバージョンアップ(?)された方は時間がかかります。お産が長引いた結果、その事を身をもって体験されても“時すでに遅し”でしょう。
分娩室(LDR室)に入室してから「だから太っちゃダメって言ったでしょ」と言われる方が、月1〜2名おみえになります(念のため)。 ついでにもう一言、お産が長引くのは「食欲」を優先させたことの“しっぺ返し”で すから、ご自分が余分にお苦しみになるのは、ある意味しかたがないことかもしれません。でも、お腹の中のいたいけな赤ちゃんが、余分なストレスを受けなければならないのは理不尽以外の何ものでもないと思います。少しオーバーに表現すれば、児童虐待を知らず知らずのうちに胎児のうちから受けている状態はできれば避けてやってあげたいものです。赤ちゃんを守る立場の一産婦人科医の本音です。
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それでもまだ、“お産の時の痛みなんとかならない?”と思われる妊婦さんのために
方法がないわけではありません。無痛分娩があります。
無痛分娩には、大きく分けて全身麻酔(吸入麻酔・静脈麻酔)と局所麻酔(神経ブロック・脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔)がありますが、無痛分娩としての理想を考えた場合、(1)痛みを十分とることができる。(2)お母さんが意識を保つことによって、お産に積極的に参加できる。(3)赤ちゃんへの影響がない。(4)お産の進行に影響しないなどの条件がそろう方法が望ましいと言えます

この理想に最も近い麻酔法としては、硬膜外麻酔があげられます。この方法は背中から針を刺して細いチューブを硬膜外腔と呼ばれる狭いスペースに挿入し、局所麻酔薬の液体を注入して行います。麻酔薬は一定時間しか効かないので、適宜必要量をチューブから追加投与します。

横になって背骨と背骨の間に針を刺し、チューブを挿入します。
効果をより確実にするため、2カ所からチューブを挿入することもあります。
無痛分娩については、医学的適応として高緊張性子宮収縮異常(子宮の筋肉全体がうまく同調して収縮しない状態)がありますが、現実的にはほとんどが“妊婦さんご自身の希望”が適応となっています。 ご希望の場合はあらかじめお申し出下さい。
ただし、以下の事柄をご理解いただき、インフォームドコンセントが得られることが条件となります。
    1. 背骨の間に針をさすことを抵抗なく受け入れることができること。
    2. 陣痛が微弱になる場合は陣痛促進剤を使用することがあること。
    3. 娩出直前に吸引分娩などの補助的手段が必要になることがあること。
    4. 麻酔中は歩行が制限されることがあること。
    5. 安全のため食事を控えていただくことがあること。
    6. 希望されても夜間は安全管理上施行できないことがあること。

本院は診療科目として「産科・婦人科・麻酔科」を掲げています。
「麻酔科」という診療科目を標榜するためには、他の診療科目と異なり、十分な麻酔の実地修練を積んだ後、厚生労働省の認定資格を取得することが必要です(他の診療科目の多くは医師免許さえあれば、何ら規制なく掲げることができます)。
したがって、無痛分娩のために麻酔を行うことはやぶさかではありませんが、上の条件に何らかの不安をいだかれる場合は、“自然分娩”をおすすめしています。無痛分娩というチョイスもあるんだということを“お守りがわり”にお産を迎えてもいいのではないでしょうか。